写真提供:伊藤じゅに☆


    この世界で一番哀しい 狐を、私は知ってい ます。愛する者を喜ばす為だけに、偉大な偽 善者になろうとして、自分自身すら捨てた結果、狐は恋人を失い、独り月夜に項垂れて懺悔するしかなかったのでした。

月明かりに照らされたその姿は、切なくあまりにも哀しい。

 


 

 騙すことを本分にして狐たらんとし、古今東西の狐の『理想の姿とは何か?』を自問し続け、実践し本来の狐の在るべき姿を愛するが故に探求した結果、捨て去られてしまう哀しい狐の物語。あれから私は、ずうっと、いとおしくその狐を想い続けているのです。